【访谈翻译】【转载】futaman 编剧·樱井武晴访谈 [M26]

​​经授权转载自柯研所:https://weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309404897372307325299

“想告诉大家黑衣组织内部也正在发生戏剧性的剧情”

■ 为设计以灰原为中心的惊险剧而提出的新系统

每年春天上映的青山刚昌原作的剧场版动画《名侦探柯南》,有着电影特有的激烈动作和戏剧性展开,去年上映的《万圣夜的新娘》更是突破了历代最高的97亿日元票房,创造了一个杰出的记录。将于4月14日上映的备受期待的最新作《黑铁的鱼影》的关键人物是灰原哀。灰原的真身是江户川柯南(工藤新一)追查中的宿敌黑衣组织前成员雪莉(宫野志保)。她是能将身体幼儿化的药品“APTX4869”的开发者,自己也服药幼儿化后从组织逃离,黑影正在向她步步逼近。

关于本作的剧情创作,我们采访了负责剧本创作的樱井武晴先生。

“创作剧场版《名侦探柯南》的剧本,大致上与创作真人电影的剧本类似。先进行取材,写出故事梗概和情节,以检查过的剧本作为基础,又听取了青山刚昌老师和导演/制作组的要求,之后再进行新一轮的取材和修改​​。 在这期间会有很多商讨会议,每次都是在青山老师家里开的。这次《黑铁的鱼影》,我从2021年1月下旬开始写,到春天初稿写完,直到下半年都在反复地进行检查和取材的工作。”

舞台设定在东京八丈岛。交织着黑衣组织的登场、海上诡计以及灰原哀为主人公的故事发展的剧本,是结合了上述反复的讨论会和樱井先生自己构思的架空系统而创作的。

“以灰原为中心来描写黑衣组织,灰原的真实身份会不会被组织发觉?想写的是一个这样的悬疑故事。这时就突然想到了创造一个连接全世界安全摄像头的系统会不会很有趣。我之前一直在写电视剧《科搜研之女》的剧本,手边有一些现成的法医知识和材料,也写过不少关于面部识别系统的故事。基于这些现有知识,我构思出一个架空的新系统。这个系统需要一个巨大的服务器和巨大的冷却装置,所以舞台被设置为在海上。当时青山老师提议说‘剧情需要海洋的话,就去八丈岛看海豚吧!’虽然最终由于各种原因海豚变成了鲸鱼(笑),但舞台还是定在了八丈岛。”

■ 柯南在保护灰原的同时,也在被灰原保护着。

包括黑衣组织在内的众多人物登场也是本作的一大特色。您在塑造角色方面有什么重点吗?

“灰原在年龄和心态上都比新一(柯南)成熟。通常我写灰原的时候,我会尽量让她看起来比新一冷静和现实。但这一次,我想描写她在之前从来没有展示过的另一面。所以写出了柯南在保护灰原的同时,也像是在被灰原保护着的剧情。还有,这次时隔多年用到了灰原是日英混血的设定。以前,在我写“纯黑的噩梦”时,曾请教过青山老师关于组织现在的状态和组织本来的目的。也包括为什么研究‘APTX4869’。这次写剧本的时候也多少触及到了这些谜点,但是特意写得不会让人很容易地觉察出来。”

■ 饱含原作者・青山刚昌的想法而书写出的剧本

樱井先生也表示,“写柯南的剧本时,如果说哪个角色的存在多次救我于危难,那个人就是伏特加”

“伏特加被塑造为组织成员里最表里一致的反派人物,有他在真是太好了(笑)。在众多的神秘角色中,我最喜欢的是基尔(水无怜奈)。她与已殉职的父亲(伊森·本堂)一同作为‘CIA与黑衣组织的双重间谍’(译注:指基尔受雇于CIA卧底于组织的同时也给组织干脏活),我对她心中矛盾的情感相当感兴趣。也很高兴这次有机会充分地描写基尔。这次在剧中基尔与波本和贝尔摩德有交集,再加上朗姆的台词,为什么他们会这样行动?有心的观众没准可以借此猜想到目前组织的现状。”

而在这部作品中,同样值得注意的是,还有一段让粉丝们无比期待的“那位大人”的刻画。

“《名侦探柯南》中有很多情节还尚未涉及。其他的不敢说,这部电影多少传递到了一些组织内部正在发生的戏剧性事件。也期待粉丝们在观影后能有所察觉。起初,本来想让大家先去看看和灰原哀的父母有关的‘皮斯克篇’,可能还是不用去看比较好(笑)。因为如果说了这种话,最终就会发展成“干脆你们全看了吧!”(笑)。影片中对过去作品的致敬也是随处可见,这里也包含了一些青山老师亲自提出的点子。说了‘让(纯黑的噩梦里登场过的)库拉索也登场吧!’的也是青山老师自己。本作包含了老师头脑中不计其数‘只能私下说的秘密’,请各位一定赏光观看。”

电影人的工作

■ 一开始并不是喜欢推理作品

樱井先生成为编剧之前是在电影公司工作。契机是与某部电影的相遇。

“截至2000年,我在东宝工作了7年。我加入东宝是因为我想做电影策划。我在小学五年级时看了仓本聪编剧、高仓健主演的《车站》(1981),初中一年级的时候看了罗伯特德尼罗主演的电影《美国往事》(1984)。两部作品都相当精彩。两部作品都带了东宝的标志。正因如此,我在初中毕业时就一心想要加入东宝了。

进入公司后很快被调入制作部,但心里还是更想做策划多一点。每天忙着给片场倒水和订盒饭。我开始想试着写写剧本的时候已经是入社第二年。当时每天都会看很多各种人写的剧本。有一个编剧奖叫城户奖,电影公司的年轻人都会预习一些获奖作品。”

不仅如此,还阅读了所有正在摄影所拍摄的电影剧本。此外,一有闲暇时间,就在东宝摄影所阅读沉睡在仓库多年的黑泽明的剧本和仓本聪的剧本。据说他一边工作,一年要看100多部剧本。

“我想如果我要从事策划工作的话,会写剧本会更好,所以就尝试开始写作。总是在电视台竞赛的尾声才提交作品,写到第三部时终于获奖。当时是两小时悬疑剧的高产时代,所有的民放局都有安排固定时段播出。所以我写的剧本自然是破案类型居多。长此以往,看过我作品的制作人发出的邀请自然也是破案类型居多。就我本身而言,并没想过写这么多推理剧,本来也不是非常喜欢推理作品的(笑)”

■ 剧本多次修改的出道作

樱井先生还记得他写的第一个(正式使用的)剧本。他报名参加了读卖电视台的比赛并获得了大奖,作品还被真人化。本该倍加感动的他却……

“虽然得了奖,但也被评委们批评了。想要播出先要进行修改,这是头一次修改剧本的经历。在东京结束了电影工作之后跑去大阪修改剧本,之后又赶回东京,结束工作之后又去大阪。实在是没时间品味获奖后的加倍感动(笑)。拖着疲累的身躯,感叹着“啊……这就是编剧的工作吗”是我对这一行最初的实感。

此外,樱井先生明确表示,编写剧本的真正乐趣“不是当你从看过作品的人那里得到很多好评时”。

“好评总是伴随着恶魔般的批评,能承受这一切才适合做这份工作。仅仅凭着对这份工作的热爱是不足以越过这些困难的。当被问及“你什么时候感到有满足感?”时,我会回答当我有能力支付孩子的学费或照顾我的父母时。这些责任居然只要写写东西就能办到,还有比这更大的好处吗?这些可不是平平淡淡没有梦想的话,不如说我正是在说有梦想的话。”

■ 给剧场版《名侦探柯南》写​​剧本的乐趣

我们向曾参与过六部名侦探柯南剧场版(包括最新一部)的樱井先生询问了剧本创作与真人电影相比的不同之处。

“在《名侦探柯南》中,我的工作是按照原作者青山刚昌老师、制作组和导演的要求编写剧本。比如一些动作戏份的描写要听从导演的意见。正因如此,声优们是用根据我的剧本创作出的‘配音剧本’进行演出。

乃至于我自己看成品时也常常看到意想不到的内容。上次我在观看我的作品《绯色的子弹》时,从开头就被吓到了。底特律街头一名男子在吹口琴的戏,那可不是我写的啊(笑)。不过这个开场方式相当帅气,我当时在震惊的同时也还是蛮喜欢的。

《黑铁的鱼影》是讲灰原哀被黑衣组织所逼近的故事,引入了搭载连接世界各地警察监控摄像头的最新系统‘太平洋浮标’。正因如此电影中有许多组织成员和外国工程师登场。我负责给这些角色设计背景故事,在讨论过程中篇幅长度的问题就浮出水面。我们曾犹豫是削减海洋动作戏还是减少‘太平洋浮标’的推理元素,但最终还是决定保留两者。所以本作会多多少少削减一些角色的背景故事。虽说我早就已经习惯了,但至今还是很难做到事先平衡各部分剧情的长度。这就是柯南电影制作如此困难和有趣的原因。”

未来,樱井先生想尝试更多推理类型以外的作品。

“这是我经常想要去做的,比如每年写一部破案以外的剧本,不过因为疫情原因也有停笔的时候。种类包含金融剧,战争剧,古装剧等等之类,就这么写下去,如果哪天有被拍成电影的机会也不错。”

黑衣组织的宾加是谁?以及灰原哀的忧郁小插曲!

■ 新角色“宾加”是朗姆的同伴,同属蒸馏酒。

提起《名侦探柯南》中的“黑”,指的就是柯南的宿敌,黑衣组织了。如《黑铁的鱼影》标题所示,这是一部有“黑衣组织”登场的,以海洋为舞台的悬疑作品。造访八丈岛的柯南一行人,听说欧洲的警察机关“欧洲刑警组织”的职员被黑衣组织的琴酒杀死。提供这一信息的正是冲矢昴(赤井秀一)。为了追查案件的真相,柯南潜入了建造在岛上的巨大海洋设施“太平洋浮标”。就在这时,灰原哀被黑影袭击了…!

“太平洋浮标”是一个配备了新系统的设施,可以连接世界各地警察持有的安全摄像头。在官方网站上,琴酒、伏特加、贝尔摩德、基安蒂、科恩和朗姆等组织成员一字排开。此外,也有潜入组织的NOC基尔和波本的身影。围绕灰原展开的,柯南VS组织的海上大决战(Ocean Battle Royale)敬请期待。

顺带一提,众所周知组织成员的代号都是酒名,据樱井先生介绍,本剧场版中将出现一个名为宾加的新角色。

“这次是黑衣组织逼近灰原的故事,所以组织需要一个一线作战部队。之前每到这种时候也会有新角色登场。写剧本时收到了‘希望(组织NO.2的)朗姆可以出场’的请求,所以需要一个类似之前朗姆的亲信库拉索(《纯黑的噩梦》)一样地位的角色。这次我选择了和朗姆酒原料相同的另一款蒸馏酒宾加。其实比起宾加(Pinga)它的另一个名字卡莎萨(Cachaca)流传更广,但是卡莎萨稍微有些拗口,而且宾加也能让人想起潜水艇的声波发射器(Pinger)的声音。宾加的设计风格大量采纳了青山老师和立川让导演的建议,请大家继续保持期待。”

■ 灰原对江户川柯南复杂的情绪

当再次被问到对青山先生的印象时,樱井先生说,“每次见到他时,我都在想他创作了那么多案件,可直到今天灵感也没有枯竭。”

“他是非常温和的人。想法丰富,每一个点子都非常细致。这次解谜的伏笔线索之一,其实就是老师自己安排下的。”

在本作中,连同灰原被组织追杀的心情,对迄今为止浅尝辄止的灰原对柯南(工藤新一)的情绪也进行了深入描写。对此,樱井先生评价道:“我写的时候相当注意。”

“关于灰原,我细致地描写了她与太平洋浮标中‘某个划时代系统’的开发者直美之间的交流。剧中有一句台词是这样说的:‘孩子的一言一行,可以改变一个人的一生。’这里投入了大量的感情。为了描写灰原不为人知的一面,直美的故事也是必不可少的。角色的人设,换句话说就是背景故事也相当重要。直美在开发这个系统之前都经历过什么,我在思考直美的人生经历时,很自然地想到了上面那句台词。另一方面,也描写了柯南和灰原的关系。但灰原对柯南复杂的感情则完全由青山老师主刀。这次在高潮部分设计了令人意想不到的情节。毛利兰参与剧情的方式包含了怎样的致敬元素,希望大家多多留意。”

■ 服下“APTX4869”而变成小孩的新一与灰原的“战友感”

本作向着黑衣组织的真相又迈进了一步,我们再次向樱井先生问及关于本作的看点。

“推荐大家最开始先纯粹地享受动作戏和推理戏带来的快感。如果有观众朋友想要更深层次地欣赏这部作品,这部分观众可以多多注意柯南与灰原的关系,柯南如何保护灰原,以及,同样服下“APTX4869”而变成小孩的两人之间的“战友感”。当然了,一定也会有想要更加更加深入探讨剧情的朋友们(笑),这部分观众可以在欣赏电影的同时着重注意每个组织成员的动向和台词,结合思考当前组织的现状,以及组织的行动目标。”

翻译:柯研所616号研究员 圆月豌豆

未经允许,请勿转载。

日文原文

第一回:https://futaman.futabanet.jp/articles/-/123925

■灰原をめぐるサスペンスを作るために、発案した新システム

 毎年春に公開される青山剛昌原作の劇場版アニメ『名探偵コナン』は、映画ならではの激しいアクションとドラマチックな展開が熱く、昨年公開された『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』はシリーズ歴代最高の興行収入97億円を突破し、大きな記録を作り上げた。期待が高まる4月14日公開の最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のキーパーソンは灰原哀。灰原は、江戸川コナン(=工藤新一)が追う宿敵・黒ずくめの組織の元メンバーであるシェリー(宮野志保)。体が幼児化する薬「APTX4869」の開発者であり、自身も薬を飲んで幼児化し組織から逃げ出したた彼女に黒い影が迫りくる。
今作のプロット作りについて、脚本を手掛けた櫻井武晴氏に聞いた。

「劇場版『名探偵コナン』の脚本づくりは、基本的には実写作品のそれと同じです。取材をして、プロットとストーリーを書き、検証して脚本にしたものをもとに、原作の青山剛昌先生や監督・プロデューサー陣の要求を聞いて、新たに取材をして脚本を直していくんです。この間に打ち合わせが何度も入ってくるのですが、毎回、青山先生の自宅でやっています。『黒鉄の魚影』に関しては、2021年の 1月末から始めて春頃に一度書き上げ、その年の後半まで検証と取材を繰り返して作りました」

 舞台は、東京・八丈島。黒ずくめの組織の登場、海洋トリック、灰原哀をメインにした物語の展開を織り交ぜた脚本は、前述した度重なる打ち合わせと、櫻井氏自身が考えついた架空のシステムを取り入れることで描かれていく。

「灰原を中心に黒ずくめの組織を描くということで 、灰原の正体が組織にバレてしまう?というサスペンスかなと。そのときに、世界中の防犯カメラを繋ぐようなシステムを使ったらおもしろいんじゃないかと思ったんです。僕は『科捜研の女』というドラマをずっと書いてきたので法医学的な知識や資料がありましたし、顔認証システムの話もいくつか書いてきた。だから今回は、それらをもとに架空の新システムを作ってしまいました。システムには巨大サーバーと巨大冷却装置が必要だということで海が舞台となりましたが、当時、青山先生が『海を出すなら、八丈島でイルカ!』とおっしゃって。イルカは諸事情でクジラに変更となりましたが(笑)、舞台は八丈島で決まりました」

■コナンが灰原を守りながら、灰原に守られているような感覚

 黒ずくめの組織をはじめ、多数の登場人物が出てくるのも本作の特徴だ。キャラクターの描き方にはどんなこだわりがあるのだろうか。

「新一(コナン)より、年齢的にも精神的にも大人な部分があるのが灰原。普段、灰原を書くときは、新一よりも冷静でリアリストに見えるようにして書くのですが、 今回はこれまでの彼女には見られなかった新たな一面が見えるように書こうと思いました。そこで、コナンが灰原を守りながら、灰原に守られているような状態ができるように書けたらなと。それと、灰原は日本人とイギリス人のハーフだという設定を久しぶりに使いました。以前、『純黒の悪夢』を書いたときに、組織の現在の状態と組織の本来の目的を青山先生に聞いたことがあったんです。なぜ『APTX4869』を開発したのかっていうのも含めてね。今回もそこに気をつけて、でもはっきりとは悟られないように執筆しました」

■原作者・青山剛昌の想いもたっぷり込められた脚本に

 また、「コナンの脚本を書いていて、いてくれて助かるなって思うのは、ウォッカの存在なんです」と櫻井氏は語る。

「ウォッカって、メンバーの中でいちばん裏表がないのでちゃんと悪人として描けるんです。だからいてくれて助かる(笑)。ミステリアスなキャラクターが多いなか、僕が好きなのはキール(水無怜奈)なんです。キールは、殉職した父親(イーサン・本堂)と同様に“CIAと黒ずくめの組織の二重スパイ”という運命を抱えているキャラクターで、僕は彼女の抱く葛藤がたまらなく好きですね。今回は、そのキールを十分に動かすことができて良かったなと思っています。キールとバーボンとベルモットの交錯が劇中であるのですが、それをラムのセリフと合わせると、なぜ彼らがこんな動きをするのか。勘の良い方ならいまの組織の状況を想像できるかもしれないですね」

 そして今作では、コナンファンなら期待せざるをえない“あの方”の描写があるのも注目だ。

「『名探偵コナン』って、まだ描けないことがとても多いんです。全部は言えないけれど、黒ずくめの組織にも現在進行系のドラマがあるということを伝えたかった。ファンの方は、これを観たら感じてくれるんじゃないかなと期待しています。事前に、灰原哀の両親のことにも関わる『ピスコ編』を観ておくといいかもしれないなって最初は思ったんですが、やっぱり観ないほうがいいかも(笑)。そんなことを言ったら、『全部観ておいて!』となってしまうから(笑)。過去作のオマージュが随所に入っていて、そこには青山先生のアイディアもあります。『(『純黒の悪夢』に登場した)キュラソーも出そうよ!』と言ってきたのも青山先生でした。先生の頭の中で、“ここだけは外せない!”というところをふんだんに盛り込んだ本作を、ぜひ観ていただきたいです」

第二回:https://futaman.futabanet.jp/articles/-/123926

■そもそもミステリが好きだったわけではない

 脚本家になる以前は映画会社に勤務していたという櫻井氏。そのきっかけは、ある映画との出会いがあったと語る。

「2000年まで7年間、東宝に勤めていました。東宝に入ったのは、映画の企画をやりたかったから。小学校5年生の頃に観た『駅 STATION』(1981年)という倉本聰さん脚本、高倉健さん主演の映画と、中学1年の頃に観た『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)っていうロバート・デ・ニーロが主演の映画。この2つが本当に素晴らしくて。実はこの2つの作品には両方とも東宝のマークがついていたんですよ。なので、中学生の終わり頃から東宝に入ろうと決めていました。
 入社してからは制作部に異動となりましたが、やっぱり企画がしたいと思っていましたね。毎日セットに水を撒いたり弁当を発注したりで忙しいなか、脚本を書いてみようと思い始めたのは、勤務2年目。当時は、毎日のようにいろんな人の書いた脚本を読んでいて。城戸賞という脚本の賞があって、それの下読みは映画会社の若手がしていたんです」

それだけでなく、撮影所で撮影中の映画の脚本も当然すべて読む。さらに時間があるときは、東宝撮影所の倉庫に眠っている黒澤明監督作品の脚本や、倉本聰の脚本を手にする日々だった。仕事をしながら年間100本以上は脚本を読んでいたという。

「企画の仕事をするなら脚本も書けたほうがいいと思って書き始めて、テレビ局のコンクールに締め切りの近いものから出していったら、3作目で賞をもらいました。当時は2時間サスペンスドラマが豊富だった時代で、全民放局に枠があったんです。だから書いていたのは自然と事件ものが多かったですね。そうすると、作品を観たプロデューサーから来る次回作のオファーはやっぱり事件ものなんです。 僕は正直、ここまでミステリをやるとは思っていなかったですし、そもそもミステリが好きだったわけでもないんです(笑)」

■何度も脚本を書き直された初作品

 最初に書いた脚本のことを今でも覚えているという櫻井氏。読売テレビのコンクールに応募をして大賞をもらい、自身の書いた本が実写化。感動もひとしおだったと思うが……。

「これが、受賞したのに審査員たちからの酷評もあったんですよ。最終的には書き直したものを放送することになって、ホンの直しというのを初めてしたんです。東京で映画の仕事が終わったら大阪まで行ってホンを直して東京に戻り、仕事が終わったらまた大阪へ行く。受賞して感動もひとしお…どころではなかった(笑)。へとへとになって、“ああ、脚本家の仕事ってこんなもんなのか”と実感したのが最初でした」

 また櫻井氏は、脚本づくりの醍醐味は、「作品を観た方から好意的な意見をたくさんいただけたときではないです」と断言する。

「好意的な意見というのは、常に悪魔的な批判とセットなので、それに耐えられる人が就く職業だなとは思います。この仕事は好きだけでは乗り越えられないことが多いと思っていて。『やりがいを感じるのはどんなときですか』と聞かれたら、僕は、子どもの学費が払えたり、親の介護ができたときだと言っちゃいます。それが物を書いてできるなんて、こんなに恵まれていることはないですね。これは別に夢のない話をしているのではなくて、むしろ夢のある話をしているつもりです」

■劇場版『名探偵コナン』の脚本作りのおもしろさ

 劇場版『名探偵コナン』に最新作を含めて6作品携わっている櫻井氏に、実写作品のときとの脚本づくりの違いを聞いてみた。

「『名探偵コナン』においては、原作の青山剛昌先生やプロデューサー陣、監督の要望を成立させるように脚本を作るのが僕の仕事なのですが、たとえばアクションシーンの描写などは監督にお任せしています。ですから、声優たちは、僕の脚本をベースに作られた“アフレコ台本”というものを見て演じている。僕自身も、完成を観て驚くことが非常に多いですね。前に僕が書いた『緋色の弾丸』を観たときも、冒頭からびっくりして。デトロイトの道端で男がハーモニカを吹く描写があるのですが、僕は書いていないんですよ(笑)。でも非常にカッコいい入り方で、驚きとともに気に入りました。
『黒鉄の魚影』は、灰原哀が黒ずくめの組織に迫られるという話に、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋いだ最新システムを搭載した海洋施設『パシフィック・ブイ』を取り入れた物語なので、劇中には組織のメンバーや外国人エンジニアが多く登場します。僕は各キャラクターのバックボーンを考えて作ってはいるのですが、打ち合わせをするなかで尺の問題が浮上しました。海洋アクションか、『パシフィック・ブイ』のミステリ要素のどれかを削るかとなったときに、結果的にどちらも残すことに決まった。それで今回は、キャラクターのバックボーンを多少カットすることになったんです。昔よりは慣れましたが、やはりいまでも尺の予測は難しいと感じています。コナンの映画作りの大変さとおもしろさはこういうところですね」

 今後はミステリというジャンル以外の作品もどんどん執筆していきたいと意欲的な櫻井氏。

「これは常に思っていて、毎年1本は、事件もの以外のジャンルを書くと決めているんです。 まあコロナ禍でそれができなくなっちゃった時期もありましたが、経済もの、戦争もの、時代劇など、いろいろなジャンルを書き続け、それがいつか映画として成立するといいなと思っていますね」

第三回:https://futaman.futabanet.jp/articles/-/123927

■新キャラクター“ピンガ”はラムの仲間である蒸留酒

『名探偵コナン』で「黒」といえば、コナンの宿敵・黒ずくめの組織のこと。『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は、タイトルの通り「黒ずくめの組織」が登場する、海洋を舞台にしたサスペンスだ。八丈島を訪れていたコナンたちは、欧州警察機関・ユーロポールの職員が、黒ずくめの組織のジンに殺害されたと聞く。情報発信者は、沖矢昴(赤井秀一)だ。コナンは事件の真相を追うために、島に建設された巨大海洋施設「パシフィック・ブイ」に潜入。そのとき、灰原哀に黒い影が襲い掛かり…!

「パシフィック・ブイ」とは、世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ新システムが搭載された施設。公式サイトには、ジン・ウォッカ・ベルモット・キャンティ・コルン・ラムといった組織メンバーがズラリ。また、組織に潜入しているNOCのキールやバーボンの姿も。灰原をめぐる、コナンVS組織の海洋頂上決戦(オーシャンバトルロイヤル)にぜひ期待したい。
 ちなみに、組織メンバーのコードネームがすべてお酒の名前なのは有名な話。櫻井氏の話によると、今回の劇場版では、ピンガという新キャラクターが登場する。

「今回、灰原が黒ずくめの組織に迫られるという話なので、実動部隊が必要なわけですが、これまでにも、そういうときは新キャラクターが登場しました。脚本執筆時に『(組織のNo.2である)ラムを出してほしい』という要望があったので、かつてラムの側近だったキュラソー(『純黒の悪夢(ナイトメア)』のオリジナルキャラクター)がいた立ち位置にいる人物を出そうと。そこで、ラムと同じ原料を使った蒸留酒であるピンガを選びました。実はピンガよりもカシャッサという名称で知られたお酒なんですが、少し言いにくいし、潜水艦の“ピンガー音(反響音)”にもかけてピンガがいいなと。ピンガのビジュアルは、青山先生と立川譲監督によって作られたところが大きいので楽しみにしていてください」

■江戸川コナンに対する灰原の複雑な気持ち

 あらためて青山氏の印象について聞くと、「これまでたくさんの事件を生み出していらっしゃいま
すが、まだまだアイディアが枯れない方だなと、お会いするたびに思います」と櫻井氏が語ってくれた。

「とても穏やかな方ですよ。アイディアが豊富で、そのどれもが非常に細やかで。今回のミステリを解く伏線の1つも、実は先生からのアイディアです」

 今作では、組織に追われる灰原の心情とともに、これまでにも少し描かれていたコナン(=工藤新一)への気持ちも掘り下げて描かれる。これについて櫻井氏は「かなり気をつけて書きました」と話す。

「灰原に関しては、『パシフィック・ブイ』の“ある画期的なシステム”の開発者・直美との交流を丁寧に書きました。劇中のセリフに、『子どもの言葉や行動で人生は変わることもある』というのがあるのですが、このセリフに込めた想いは大きいです。灰原の知られざる一面を描くためには直美の物語も必要で、直美のキャラクター造形、つまりはバックボーンが重要でした。直美がシステムを開発するに至った経緯や、直美の人生を考えたときに、ごく自然にこのセリフを思いついたという感じです。その一方で、コナンと灰原の関係も描かれますが、コナンに対する灰原の複雑な気持ちは青山先生が担当しました。今回はクライマックスで思わぬシーンも用意されています。そのときの毛利蘭の関わり方にはどんなオマージュが込められているのか、注目していただきたいですね」

■「APTX4869」を飲んで幼児化した新一と灰原の“同志感”

 黒ずくめの組織の真相に一歩近づく本作だが、あらためて櫻井氏に本作の楽しみ方を聞いた。

「最初はあまり考えないでアクションやミステリを堪能していただきたいと思います。もし、もっと深いところで作品を観たいという方は、ぜひコナンと灰原の関係、コナンが灰原をどうやって守るのか、そして、『APTX4869』という同じ薬を飲んで幼児化してしまった二人の“同志感”を観ていただきたいです。で、もっともっと深く考察したいという方もいらっしゃると思うのですが(笑)、そういう方は、黒ずくめの組織のメンバーそれぞれの動きやセリフから、組織がいまどういう現状なのか。実はどういう目的を持っているのかっていうのを想像しながらこの映画を楽しんでほしいなと思います」

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